教え子たちを虜にする、数学教授渾身の名作
4年以上前に投稿された動画が、いま、ここへきて俄然注目を集めている。和田昌昭氏が中原中也の詩に勝手に曲を付けて歌った「宿酔 Hangover」だ。
実はこの和田昌昭氏、大阪大学で数学を教えている先生で、敬愛する中原中也の詩をモチーフに自作した楽曲群を、「中原中也『山羊の歌』による7つの歌」と題して自ら歌い、2009年8月31日にYouTubeにアップした。当然、そんなモノ付きな投稿は教え子を含めた身内のものしから知らず、話題にも何もなっていなかったのだが、この7曲の中の1曲=「宿酔 Hangover」に密かに心を奪われていた大学院生の教え子が、「尊敬する和田教授とセッションをしたい」と、人気バラエティー番組「探偵!ナイトスクープ」(ABC)に依頼を出したのだ。
その模様が3月7日にオンエアされ、それからというもの、数えるほどの再生回数しかなかった和田教授の投稿動画が、いまや40万回再生に迫る勢いだ。そのあまりにもオリジナリティー溢れる世界観に、ネット上でも「中毒性がある」「神曲!」「ハマった」など、もはや冷やかしを超えた驚愕と感動の声が多数上がっている。教え子の大学院生が「3回聞くと覚醒する」と語っているように、今後、さらにこの楽曲にヤラレてしまう人は増えるだろう。まだ3月とは言え、今年最大のヒットの予感である。是非CD化、カラオケ化してもらいたい。
それにしても、これまでとかく対立関係/競合関係として語られてきたマスメディアとソーシャルメディアが、実は奇妙な依存関係/共犯関係にあったということがよくわかる事象である。
中原中也 宿酔 Hangover
)
